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その母や姉妹は竜胤と無関係であるのか、
またそもそも竜胤の御子が
宮へ「輿入れ」したり
再び地上へ「浮き舟渡り」したりと
忙しく上下するのは何故か、
という点の考察(超私見)から、隻狼ストーリーの根幹から裏話まで関わる「竜胤」とは何なのか、の解説・説明を試みたいと思います。
竜胤について異質なほど具体的なのは上人の「竜の帰郷の章」であるため、まずはそちらから。
竜胤の血族
竜胤の御子が、つめたい竜の涙を飲み干し
竜胤の揺り籠が、二つの蛇柿を食すのを
揺り籠の命果てず、御子を宿さば、
西への帰郷は叶うだろう
この文から、竜胤、竜胤の御子、といった言葉の意味をある程度明確にできる。
出てくる重要キーワードは
「つめたい竜の涙」、
「竜胤の揺り籠」、
「二つの蛇柿」である。
揺り籠が母体を指すことは文章から想像がつくが、その前に竜胤の御子が涙を飲むことになっているため前後がやや混乱する。
ここで「冷たい」で良いはずのところをあえて「つめたい」となっている点に着目すると、これを足掛かりに別の方向へ解釈を進めることもできる。
考察が発展する有力な候補のひとつは「詰めたい」である。
黒は転じて生を成す
竜胤を供物に乞い給え
黒の巻物の記載は、不要な改行を除くと「転生を成す竜胤を…」とも読める。
これを元に、ある女性に、いずれ産まれる我が子(御子)の肉体に詰めたい竜がいると仮定して、
その「涙」を飲むことで竜の転生となる御子を生む母(揺り籠)となれると考えると、時系列の前後しない文章となる。
この解釈で再整理すると以下となる。
1.母親候補が竜の涙を飲み竜胤の血の所持者(竜胤の揺り籠)となる
2.その母親候補が更に蛇柿を食べる
3.その母親候補が子を宿し出産する
4.竜の魂を詰められた「竜胤の」御子が誕生する
そして「帰郷」は叶うのである。
竜胤の御子が傷を負わない肉体を持つのも、この特殊な手間をかけ竜の力を宿した存在だからと考えると納得がいく。
即ち竜胤とは「人に転生する直前の、竜の胤(たね)」と呼ぶべき存在と推定される。
またつめたい竜を選べるように見えることから、桜竜以外に竜がいる可能性の示唆でもある。
我が血と共に、生きてくれ
仙峯寺の御子は桜雫(竜の涙と違いはないと予想)を得ることによって回生を与える力を持つことから、自分の血を分けた将来の子(=竜胤の御子)と共に生きる従者の任命、回生の授与は母候補である揺り籠の能力と推定される。
九郎も従者任命を行ったことから平田屋敷の時点で竜の涙雫を飲んでいるはずであり、少なくとも竜胤の血が流れる「揺り籠」であることは間違いない。
(九郎が自称の通り竜胤の御子であるかは少々怪しい)
不死の契りを、俺と結べ
弦一郎が望んだのは揺り籠との婚姻であり、出産つまり「不死の契り」により葦名の跡継ぎを不死身の竜胤の御子とすることで、無敵の葦名家を創りたかったのではと思われる。
なおこの母親候補は誰でも良い訳ではなく、一部の血筋の者だけが資格を持つように見える。
それが「変若の御子たち」である。
そこから考えると、九郎は少なくとも竜胤を持つ変若の御子ではあるだろう。
竜胤システムの構成
彼の女衆は、いにしえの淤加美の一族の末裔
変若の御子たちは宮から降りた天女の血筋ではあるが、彼女たちの竜胤製造をサポートするためだけに「蛇柿」という超自然的なアイテムが地上で作られているように見える。
蛇柿は落ち谷下流で水を飲み生物を食らう白蛇の胎内に作られる。
そしてその上流には宮から流れ着く「ぬしの色鯉」の死骸がある。
天から落ちた色鯉から流れる赤い成分が食物連鎖で蛇柿に繋がっていると仮定すると、ぬしの世話係からぬしの色鯉、ぬしの白蛇までが同じ目的で接続されるのである。
ぬしとは、土地神
つまり彼らは「ぬし」の所有物であり、
蛇柿、ひいては竜胤の御子の作成こそ「ぬし」の意思だと解釈できる。
魚類の生食からの感染、大型捕食者の生体濃縮、に加えて
赤目はおそらくカタツムリの寄生虫のように白蛇に食べられやすくなるよう目立つために赤目となる中間宿主なのだろうと想定される。
神々の意思ではあるが、寄生と濃縮のシステムはすべて自然のままの構造となっていることが伺える。
ぬしは常しえだが、死ぬと髭が抜ける
全体で一つのシステムのため、鯉も蛇も死ぬ前提だが交代が常に補充されるはずである。
世話係さえもそうなのかもしれない。
ぬしの白髭が白蛇の元となる可能性もある。
なお「ぬしの力」は赤い色素を持つ形なきエネルギーと思われるが、赤成り玉や寺に見られる小さな赤い線虫がその化身である可能性も否定できない。
竜胤の目的について
淤加美の血族たちは土地神のサポートのもと、竜胤をつくるために地上に降り、なぜか再び帰郷しようとするように見える。
淤加美の行動に地上侵略の意志は見えない。
これらの前提から例の掛軸を見直してみる。
この掛軸は天から淤加美が来襲した図ではなく、天から淤加美、地から葦名侍の挟み撃ちの図と見ると
竜の涙を欲するオカミ、あやかしを倒そうとする葦名衆、の構図にぴたりと嵌るのである。
つまり中央の雷雲こそがあやかし、「神鳴る竜」である。
揺り籠の命果てず、御子を宿さば、
西への帰郷は叶うだろう
オカミの目的は、天空の仙郷、寺の上人や御子が仏教用語である西方浄土から「西」と呼ぶ地点への「竜の帰郷」であると想像される。
つまり地上に逃げた竜を、胎内に捕らえ天へと持ち帰る捕獲ミッションなのである。
まるでUF○キャッチャーのようなその役割のため、揺り籠は蜥蜴の冬眠を促すような冷凍体温となるのだと考察する。
かつて葦名に降りた神鳴る竜はどうなったのか。
考察に沿うならば「いにしえ」のストーリーは以下のようであったと想像される。
葦名の地へ落ちた神鳴り竜を追った八尾比丘尼は
現地の武士たちに天から来た者であると告げ、協力ののち拝涙を果たし竜を封じた。
得た雫を飲んだ比丘尼は揺り籠となり、輿入れの準備も兼ね水生村に身を休める。
二つの蛇柿をも食した彼女は、やがて無事に子を宿す。
いずれ共に天へ帰らねばならない運命の竜胤の御子、不死身の雷竜の転生体。
彼女はその娘に、巴と名付ける。
そして輿入れの日、幼い巴や他に生まれた変若の御子たちと共に、天女は天へと帰っていった。
ただひとり、その後の「葦名の変若の御子たち」の祖となる赤子を残して。
青錆びの毒は、いにしえの戦で
人ならぬ、淤加美の女武者らを退けたという
その血筋に連なる者にもまた、有効だろう
これも改行と読点で分かり難くしてあるが、
対象は「人ならぬ」「女武者」ではなく
「人ならぬ~退けたという、その(竜の)血筋」「(それ)に連なる者」である。
おそらく比丘尼の子孫は飲んだ涙をとおして雷竜由来の竜胤の血を引いてしまったため、青錆びの毒が効いてしまうものとみられる。
ちなみに錆び丸の覚書は、同じ文章が途中で途切れているのである。
常しえに砕けることも、錆びることも無い
神なる竜の恩寵を受けるがゆえだ
神鳴り竜は青色や錆と因縁があるようである。
神鳴りも、しばらくならば抑えられよう
神鳴り(雷)竜攻略として、うな胆の効力を武士たちに伝えたのは比丘尼なのだろう。
破戒僧のジャンプ攻撃、長い滞空から鋭く打ち放つ動きは雷返しで習得した技なのかもしれない。
なお拝涙には不死斬りが必要だが、赤を抜ける不死の持ち主がいたか、黒を使ったかはまだ判然としない。
(あるいはそのために蟲を憑けた可能性もある?)
武者侍りほか、葦名各地に見られる信仰の封じ箱は「竜封じの輿入れ」を模しており、帰郷の解釈を補強するように思われる。
西へ…。神なる竜の故郷へと…
(変若の御子)
竜は貴く、水もまた貴い。具体的に竜胤や不死の知識はなくとも、その思いは葦名の民に古い信仰として残されているように思われる。
長くなってしまったので、残された子供である「水生のお凛」の運命については今後の考察にて。
参考:
関連記事:
【隻狼】新隻狼考察②_ぬしの竜胤

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