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いままでの考察結果がパズルのピースのように嵌っていくので、筆者としては面白い考察でした。
さらにその後の考察のベースともなっています。
竜咳と米
生きるための、当たり前の力を奪われています
エマの解析によると竜咳のメカニズムは、竜胤の従者の回生に「力」を奪われたことによる。
その「力」とは、葦名の人間が、産まれた時から持っているものなのだろうか。
葦名は高地である。そもそも寒く、空気が薄いであろう上に火山性とみられる毒ガス帯まで存在する。
たとえ喘息持ちでなくとも、呼吸器には厳しすぎる土地柄であることが伺える。
人は葦名で生きようとすると、ただそれだけで高い確率で肺病を得るのではないだろうか。
しかし人々は克服し生きている。「(葦名に)生きるための当たり前の力」をどこかから得ているということなのではないか。
止まぬ咳が、止まるのだ
竜咳の特効薬は、竜胤の雫である。
人々が日常的に摂取する、それと同じものがあることになる。
お米は、大事と、存じます
変若の恵みが、肺病の薬となっていたと仮定すると、後述する様々な点の辻褄が合う。
源の宮の要素が含まれる水生村の水や、変若の御子たちの掌の米には、竜胤の雫と同じ要素が含まれているという仮説である。
平田屋敷が、変若の結晶である白米を生産できる変若の御子たちを囲い、葦名全域の人々に変若米を提供する生産基地であった、と考えると
水運に適した立地にあり、倉庫と学舎を備える不思議な施設である理由、また内府が施設そのものを破壊した理由も分かる。
葦名の米を賄う、文字通りの「平田」だったのである。
そして竜胤は病を撒き散らす訳ではなく、
変若と龍胤のシステムは人々に肺病の薬を与え、必要に応じて回収しているということになる。
竜咳に苦しむ人々は、子供の時から自然に馴染んでいた竜胤の薬効を断たれ、葦名の天然の毒性空気に直接晒された姿なのだ。
ゆえに酒も、うまあいっ!
そして酒は米と水の合わせ技である。
葦名衆には、葦名の酒が旨く感じて当然なのである。
荒れ寺の周辺人物が竜咳に掛からないのは謎だが、変若の御子である九郎自身が米を提供しているのかもしれない。
九郎にも米を出す能力があるのか?という点については、
これは、密かに秘めた決意と
惜別をこめて、こしらえたもの
2個目のおはぎは、寺の御子に貰った米で作ったとは書かれていない。
こちらは九郎のお米からの手作りなのではないだろうか。
うまそうな茶だ。もらうとするか
そうなると仏師殿は米を拒んでいることになるが、竜咳の調べのために身を提したのだろうか?その点は今のところ判然とはしない。
酒はいいが米は遠慮している理由は、何かの考察のヒントになるのかもしれない。
変若の御子は、おそらくみな掌から米を出せる。
そして掌の米は、葦名の民にとって無いと命に関わるレベルで大事なのだ。
せめて竜胤を断ち、人に返して差し上げたい
余談となるがここまでの考察から、これは不死の人物を人間に戻したいのではなく、
巴は自分の胎内に竜胤を持ち、それを停止することで人々への力の返還を図ったとも読める。
あの日、常桜の木の下で…
巴殿が…自刃されようとしたのを…
巴が自らの竜胤に黒の不死斬りを突き立てるのを、エマは自刃と見たものだろう。
「巴も揺り籠である」「黒は竜胤を殺せない(拝涙できない)」という話に広がるので詳細はまた後日。
蟲と米
獅子猿や破壊僧は蟲憑きであるにも関わらず、寺の僧のようにやせ細った姿となってはいない。違いはどこにあるのか。
落ち谷の奥に咲いていた、青白い蓮の花
米や睡蓮が示すように、変若の色素は白色であると予想される。
破戒僧の水生村も源の宮も、色鯉が流れ着き睡蓮の咲く獅子猿の水場も変若要素の豊富な土地である。
変若要素が豊富ならば、獅子猿や破戒僧のような白味を帯びた身体となり、痩せ衰えることもなく蟲は安定して飼いならせるものと思える。
逆に考えるとミイラのように痩せた僧の姿は、変若の栄養補給を失った蟲憑きの姿なのではないだろうか。
高い金剛山には、源の宮から流れる水を湛える川はない。
平田屋敷を失った結果、変若米の供給が断たれた僧たちは一般人の「肺病」とは異なる「栄養不足」の被害を被っており、その時点で、変若の御子を携えて居座った梟の強要に抗えるはずがなかったのである。
かつては普通の姿だったであろう蟲憑き僧たちは、平田屋敷の陥落と変若の御子の引きこもりによるダブル米ショックで、蟲憑き独特の痩せ病(?)に悩まされているのだと予想する。
僧のムカデは栄養不足からか、隻狼が近付くと吸ってくるのである。
これは獅子猿などの蟲には見られない行動である。
なお梟派の忍びや寝返った僧は、おそらく平田から奪った在庫の分配を受けているのだろう。
または葦名の火山性の毒ガスは、さらに高所には影響は少ないのかもしれない。
田村と米
敵将田村の時代には、一心の縁者である平田の屋敷はあるはずがない。
しかしこれまでの考察の通りならば、葦名に来た田村も米を必要としていた筈である。
国盗られ刑死した
葦名衆の荒ぶる御霊
ここに鎮める
捨て牢には田村時代の前に住んでいた、旧葦名衆の碑がある。
一心は盗られた国を盗り返す意図なので、旧葦名衆の出身であることが伺われる。
その同族を田村は捨て牢に捕えていたのだ。
そして巴もまた、捨て牢に目的があったのではないだろうか。
巴… あれほどの遣い手は、そうはおらぬ
輿入れして宮にいた巴に、葦名一心に国を持たせたい理由は見当たらない。
しかし彼女の親族である変若の御子、肺病に効く奇妙な米を出せる子供たちが田村に利用され迫害を受けていたのなら、同じように旧葦名衆を解放したい一心と手を組む理由は十分となる。
弦一郎の師の技じゃ
なかなかに、面白かったであろう
地下牢では、巴の雷も届かない。
一心と巴の共闘の気配から、旧葦名衆と当時の変若の御子たちは、共に捨て牢に囚われていたのではと考えてもおかしくはない。
むしろ外から来た田村から見ればどちらも原住民である。セットで収監するほうが自然とさえいえる。
そして巴の雷は、葦名に再び米の豊穣をもたらす「稲妻」となったのである。
以下が、米と変若の御子を中心とした葦名の時系列の整理となる。
次回以降の考察分も少し含む。
「御子」はすべて変若の御子の意味である。
・八尾比丘尼、あやかしを封じる(古文書時代)
・蟲憑きの寺が開祖の上人により興される
・比丘尼が輿入れするも末子を葦名に残す
・比丘尼の末子、寺に封じられ米を生産
・「有難き寺の御子の米」が葦名民間に流通
・寺の御子、逃亡する。竜咳が再流行
・田村の侵攻。次世代の御子たちと米は田村が専有する
・巴の浮き舟渡りと一心の国盗り(二十余年前)
・巴と一心が牢を解放する
・一心が米生産拠点を牢入口から平田へ移す
・巴の帰郷時、水生村事件が発生
・平田の御子たちが再度の世代交代
・梟と内府、平田を襲撃し御子たちを殺害・強奪(三年前)
・寺の蟲憑き、米不足となり痩せはじめる
・葦名は米不足で斜陽、存亡の危機を迎える
現在の状況:
・仙峯寺は梟が平田から誘拐した御子を置くも結局、米は得られなくなり僧たちは飢える
・弦一郎は、変若水や九郎とその血筋を利用した葦名の建て直しを図る
・一心と九郎は逆に、葦名からの変若/竜胤の影響の一掃を図り隻狼が暗躍する
平田の郎党である伊之助の服とおなじ稲穂の紋が、捨て牢入り口に放置されていたため、米どころの移動は信憑性がそれなりにあると思われる。
想像をたくましくするならば、この素朴な変若の御子の紋デザインは、もしかすると解放当時の変若関係者では最年長の巴の手によるものかもしれない。
また平田と捨て牢入口は、共に大量の桶を積んだ大八車が多く見られる。変若の御子の米は稲わらがなく、俵が作れないため輸送には桶を用いたのだろう。
どこで道を…別ってしまったのだろう
このように整理すると明確だが、ふたたび竜胤の力で葦名を救いたい弦一郎と対象的に
九郎と隻狼の不死断ちの先にあるのは、変若の恵みを失い竜咳に喘ぐ葦名の姿しかない。
しかし更にその先、竜胤・変若の恵みへの依存の断ち切り=葦名に生きる人間の竜胤断ちこそが、
竜胤断ち
それを成す術を、ここに書き記す
いずれ竜の雫を仙郷に戴くべし=返却せよという初代の変若の御子である比丘尼、および
毒地で生まれ育つ生き物は、
毒の影響を受けぬようになるという
葦名の毒素の源の水、毒慣れ修行の地とみられる毒だまりに育ち
変若の米なしに国盗りが可能=おそらく生まれながら竜咳に罹患しない男たちの将である葦名一心による葦名のための選択だったと思われる。
儂はこの葦名を、黄泉還らせねばならん
この世のものでない食物を口にした葦名を、いま一度、黄泉還らせるために。
ゆえに隻狼、お主を斬るぞ
それは最後の変若の御子を斬るために。
そして葦名と竜胤の未来は、掟に縛られ駒に過ぎなかった男の意志に委ねられることとなる。
ここまでが、今後の考察のベースとなる内容となります。
次回は獅子猿と小太郎について、これまでの設定考察を踏まえて捉えなおしていきます。
参考:
神産み - wikipedia …口にすると帰れなくなる「黄泉竈食ひ」についての記載も。
関連記事:
【隻狼】新隻狼考察④_誰が為の葦名

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