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気ままな感想・考察ノート。基本的にネタバレです。
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今回は考察の難関、平田屋敷襲撃の真相究明を進めます。

 

ただし平田屋敷や梟の考察については、仏師との関係などもあり容易ではありません。

そのため今回は梟の行動と目的について、これまでの考察をベースに表面に見える部分だけをトレースすることとし、深部については後日に回したいと思います。

 


 

寄鷹と梟

 

空中殺法を得意とし、藁蓑に身を包み、猛禽を名乗る葦名の忍者「寄鷹の衆」。

技、装備、そして名前から「梟」は寄鷹の一員であることは十分に予測される。

 

 

また個人として一心の近くにあったことや、「親は絶対」などの規律を引いていることから、

梟が寄鷹衆を率いる立場にあることは疑いないように思える。

 

なお対象がひとりふたりでは「親は絶対」の掟をわざわざ用意することはないように思われるため、

戦場で孤児を拾い忍びに育てることは日常的だったのかもしれない。

 

 

終盤で寄鷹同士の戦闘が行われているのは、梟派と一心派の争いかと思われる。

 

己の掟は、己で定める

 

「主は絶対」もまた、鉄の掟であり――または、隻狼と同じような心境の変化がその同士討ちの背後にあった可能性も否定はできない。

 

 

葦名より北に離れた薄井の森には、

正体掴めぬ猛禽が棲む

 

梟の名と同じ薄井の森は、寄鷹の修行場である可能性がこの文からは垣間見える。

 

 

余談となるが、鳥の名を持つ忍びは他にも名前が登場している。

川蝉、そして霧がらすである。

おそらく寄鷹と、そして梟と無関係ではないのだろう。

森で修業したというお蝶が、老い羽の、そしてぬし羽の霧がらすであるかもしれない。

 

だが今回の考察の中心はあくまで梟とするため、それらの推量は後の機会としたい。

 

 

 

大望

 

梟は桜の香木を持っていたが、仙郷の常桜は源の香の材料にしかなり得ない。

梟に輿入れの動機があるとは思い難いが、彼が源の香に興味を惹かれそうな仮定がひとつある。

 

前回考察の仮定、水生村が開門の暴走事故によるものであった場合である。

 

いま自分に忠実な部下たちを、もし水生村と同じような「死なず」に出来たなら、

もはや誰も手の届かない権力の持ち主になったも同然となる。

 

梟は水生村で起きた変事を調査した結果、源の香というものを作る過程で「そうなった」らしいということまで知ったのではないだろうか。

 

彼は「死なずの探求者」となったという仮定である。

 

桜、花、石、そして血。

梟は城の常桜を手折り枯らしたのち、水生村や落ち谷に寄鷹を走らせる。

 

血を持つ御子は、平田にいた。

 

 

 

揺り籠と雫

 

平田屋敷には、九郎がいた。

しかしこの時点で九郎が竜胤の揺り籠だったのならば、なぜ、目的であった揺り籠の誘拐を梟は果たせなかったのか。

 

ここでは、襲撃の時点では九郎は揺り籠ではなかったのではないかと考察する。梟の認識の外にあったのでなければ、味方のない状況で拉致は免れないからである。

 

 

ここで揺り籠と竜の涙についてもう一度整理する。

 

揺り籠の命果てず、子を宿さば、

 

竜胤の御子は不死身であったとしても、揺り籠は死ぬ可能性があることがわかる。

 

一度流れた涙もまた、形を保ち

常しえに乾くことはない

 

しかし竜の涙/雫は「常しえ」である。ならば揺り籠が死ぬと既に飲んでいた雫はどうなるのか。

 

不死の契約成らざる時に、引き換えに残ると伝わる桜色の結晶

 

不死となる子を成せなかった揺り籠から、おそらく取り出すことが出来るのである。

 

「不死の契りをやり直し。」とは、婚約からの再トライを指すのだろう。

 

 

しかし、もしもこの雫の移譲を意図的に行うとしたらどうか。

揺り籠の命と引換えではあるが、悪意の襲撃者から、竜胤の存在を隠すことができるのではないだろうか。

 

死んだ変若の御子から生きる変若の御子への、雫と竜胤の譲渡。仮にそれが行われたと考えると、変若の御子「たち」は、複数が平田屋敷に住んでいたことになる。

 

つまり襲撃の時点では、特別扱いの「揺り籠である変若の御子様」が九郎の他にいた。

その仮定は、九郎が拉致を免れ城に保護される理由にも繋がるように思われる。

 

 

 

仏に供えて欲しいと、老婆は望んでいた

鈴を持っていき、供養してくれるか

 

野上のおばばも九郎も、「御子様」に渡すはずだった守り鈴を、本人ではなく「仏」に供えてくれという。

仏に供えるとは大抵の場合、死者への供養を指す。

 

平田は終いじゃ…

 

こちらも完全に取り返しのつかない終わりに至った感が非常に強い。

 

 

隻狼も、護るべき御子を失い井戸底にいた。

 

彼らの特別な「平田の御子」は、もはや希望なく確実に他界しているとしたら

それは自然なリアクションであるといえる。

 

実際、平田屋敷を調べると未成年とみられる犠牲者も複数確認できるのである。

 

 

 

 

暗闘

 

梟は平田屋敷で香の材料である竜胤の血液、即ち揺り籠の誘拐を狙った。

しかし何者かが梟の先手を打ち、揺り籠を殺害し雫を摘出した。

 

雫を密かに譲られた別の変若の御子は、揺り籠となり従者を任命する力をも持つ。

それは死にかけた人間を救い、命を延ばす力ともなる。

 

梟の野望阻止のために動いたのは誰か。

選ばれ、新たな竜胤の主となったのは誰か。

従者に選ばれたのは誰か。

 

 

どこまで事実か分からない平田屋敷の幻であるが、隻狼の記憶をプラスすることでこれらの解までは辿り着けるように思われる。

 

 

 

しかし仮に九郎が近い年代の親族、例えば兄弟のような存在の死の上に生き残った御子であるとするならば、全く同じ境遇の「御子」がもうひとり存在する。

 

仙峯寺の変若の御子である。

 

この類似は偶然ではなく、多くの兄弟が死んだが二人だけが生き残ったのだと仮定すると

平田襲撃の先の展開をまた違う方向へ進めることができるだけでなく、仙峯寺の御子の出自も明確にできることになる。

 

 

 

 

 

最後に、今回考察範囲の内容をまとめる。

 

 

 

 

炎上する平田屋敷の一角。

梟の姿をした男は、不覚を噛み締めていた。

 

内府と組んでの平田襲撃自体は上首尾に終わった。平田屋敷はもはや再建は成らず、葦名の大打撃となろう。

 

しかし、自分の目的は果たせていない。

誘拐するはずだった御子、「竜胤の揺り籠」の娘は、既に何者かに殺害されていたのだ。

 

「はぐれ忍び」の乱入も、想定外だった。仏殿が倒壊しなければ、危なかったかもしれない。

 

 

――先行させた霧鴉に、一杯食わされたか。

 

舌打ちをしながら、気絶させた一人の娘を担ぎ上げる。

ほかの変若の御子はすべて殺したが「竜の涙」は見つからなかった。何者に雫を飲ませ、隠したか。

 

 

――九郎様も、平田にいたはず。

一瞬はその考えがよぎったが、男児であり変若の一族でもない筈だと考え直す。

 

 

ともかく。

 

裏切りのため倅も何人か手にかけた以上、

おめおめと手ぶらでは去れない。

 

いまはこの偽りの御子でやむを得まい。

いずれ竜の涙を飲ませ、真の揺り籠にしてくれよう。

 

竜胤の血、源の香、不死の忍び衆。

死なずの求道こそ、大望への道。

この平田から逃げた者、皆殺しにしてでも竜涙を探し出してくれる。

 

 

梟は獲物を抱え、炎が照らす夜空に消えた。

 

 

 

 

 

その後、梟が寄鷹や賊の配下を連れて占拠した地、

野望のため死なずの探求を続けた拠点はおそらく仙峯寺と推測される。

 

 

それを示すように、賊や、技や装束から寄鷹の精鋭に見える忍びが、寺に配置されている。

 

今は、死なずの探求の手足である

 

らっぱ衆も梟の配下におかれたようである。

寺に散らばる遺体は、水生村の死なずの研究かお宿り石探しのため攫ってきたものか。

 

 

兄弟を殺されながらも生き残った、変若の御子のその後は周知の通りとなる。

上人との関係は薄く、寺で作られた訳でもない。

彼女が蟲憑きとされる可能性は低いといえるだろう。

 

 

変若の御子たちの亡魂も、たゆたっており

屏風の猿たちに宿り、動かした

 

共に平田で暮らした変若の御子たちは、見る猿、聞く猿、言う猿、となったと考察される。

 

 

エマ殿、平田から逃れてきた者、他には

もうほとんど、残っておりません

 

平田屋敷の直後、逃げてきたものを見舞うだけならばこのやりとりは不自然である。

平田屋敷襲撃の後も、何者かによる逃亡者殺害事件が暫く続いたであろうことが伺える。

 

梟の殺戮は、九郎に竜胤との決別を促した要因のひとつになったのかもしれない。

 

 

 


 

仮定に仮定を継いだ想像と空論の内容ですが、平田屋敷の事変を見直すためのひとつの視点の提供になればと思いまとめてみました。

 

平田屋敷については考察を継続して、いつかは全容を解明したいと思います。

 

参考:

ツクヨミ - wikipedia

 

関連記事:

【隻狼】新隻狼考察②_ぬしの竜胤

【隻狼】新隻狼考察③_大忍び梟の軌跡

【隻狼】新隻狼考察④_誰が為の葦名





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