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気ままな感想・考察ノート。基本的にネタバレです。
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「源の宮」と呼ばれる土地は、多くの建物が水没した遺跡のような形で存在しており、

また水に沈んだ建物のほか、現在の水量を意識して建てられたと見られる脚の長い建物もあります。

 

脚の長いものは当然、増水後に新たに建てられたものであると予想され、

つまり源の宮には「水没していない過去」があったのはほぼ確定の事実と思っています。

 

なぜ水没したのか、そして水没の前はどのような土地であったのか。

今回はテキストだけに拘らず、様々な観点からこの二点を考察してみました。

 

 


 

水没の理由

 

現在の源の宮の水は下界である葦名において「変若水」と呼ばれる異質な水である。

また宮の滝の途中にある建造物にも増水によるとみられる破損が見られるため、

水が増えたのは宮の更に上流、すなわち神域に異変が起こったためと考えるのが妥当だろう。

 

この葦名には、ひと際古い土地がある

古い土や岩が、そこに染み渡った水が、

神なる竜を根付かせたのだ

 

隻狼の時代、神域にあるのは眠る巫女と桜竜である。

そしてこのテキストから竜は来訪者であり、

つまり増水と水没はこの神なる竜の降臨が契機と仮定できるように思われる。

 

変若水が竜の吐く水であれば、飲んだ者が植物化するという異質な力を持つのも分かる。

(おそらく水や土を好む神鳴り竜は、木気の眷属であるのだろう。)

 

そして「ひと際古い土地」とは源の宮を指すともここから予想される。

 

もし葦名が島国の一部であるならば、火山性の高山は最初に海から頭を出したであろう土地であり、「ひと際古い」は自然で確かな表現といえる。

 

そう考えると宮の中央の深い窪みは、もしかすると火口の跡なのかもしれない。

 

 

 

水没前の想像図

 

では水没する前は、宮はどのような土地であったのか。

 

源の宮で、淤加美の女武者は、

竜がために舞いを捧げた

 

まず神域側、赤い丹塗りの高舞台餌遣り場はすべて高足となっており、現在および未来の水量を意識したものに思われる。

そのためこれらは水量増加前は存在しなかったものと考えられる(位置的にも神域の竜に捧げられたものと想像できる)。

 

大量の桜も、桜竜の影響と予測されるため水没前の想像からは除外する。

住人も一旦は普通の外見の人々のみが住んでいたと仮定する。

 

そして色鯉が存在する大池は、水量増加前は水面そのものが現在の位置より大きく下がることになる。

水底の廃墟がある程度露出するほどに池の水位を下げた姿を想像した場合、2点の事実が明らかになる。

 

ひとつは早い段階で隻狼が訪れる、桜牛を飼う建物が意外なほどの高台にあるということ。

もうひとつはぬしの寝床、洞穴内になぜか華麗壮大な建築群があるということである。

 

 

古来より、高貴神聖な者は民を見下ろす高所に棲まう。

そこから、水没前=竜が訪れる前の宮の「上座」は、実はこれらの古い建物のほうであったのでは、という予測が立てられる。

 

仮にそうであった場合、断崖に面した「淤加美門」は入口ではなく宮の最奥、

すなわち竜なき時代は最も高貴神聖な位置にあったということになる。

 

 

ここで宮の2点の門を比べてみると、桜牛側のオカミ門および周辺には赤ペイントである「丹塗り」が相当古く、一部は剥げている。

対して破戒僧側は丹塗り完璧である。

 

「丹塗りの新しい建造は水量増加後=比較的新しい」という類似が他にあることから

以降は桜牛側と破戒僧側をそれぞれ暫定的に旧オカミ門、新オカミ門と呼称する。

 

 

話を戻すと現在の旧オカミ門の裏側(大池側)が、本来は崇拝を集める正面だったのではないかと思われるのである。

 

 

 

だが旧オカミ門の更に奥にあるのは崖のみで、仮に御座所または寺社としても信仰の対象となるであろう人物/御神体/本尊が無いかのように見える。

 

可能性は3点ほど考えられる。

 

第一は仏寺様式であることから仏像を安置する須彌壇が本来は存在したが、現在では破損または移動済である可能性。

 

第二は断崖そのものが御神体ではないか、という仮定。即ち山岳信仰のような自然物崇拝である。

 

これらのいずれかである場合、裏返した旧オカミ門は適切な形状の宗教施設、右廊左廊の翼をも備えた朱雀型の寺社と見ることが出来る。

 

また断崖信仰説は根拠のない話ではなく、

葦名各地にはなぜか鳥居の奥に断崖絶壁を祀りあげる習俗が伝えられているのである。

 

 

 

 

 

白蛇の社、身投げ場のほか、鉄砲砦も順路と逆に見ると実は鳥居と深淵が確認できる。(橋が掛けられてしまってはいるが)

また徳次郎の廃屋も位置的にはかつて断崖信仰の地であった可能性もあるかもしれない。

 

いずれも「葦名衆」というキーワードに結びついているように思われるが、その点はまた別の機会に改めたい。

 

 

また第三の可能性として「依り代」、かつての御神体であった可能性のある物体がなくもない。こちらについては次回まとめる。

 

 

 

かつての源の宮

 

水量増加前については旧オカミ門の周辺が「上座」であったという予想のほか、

もうひとつ、少々大胆な仮説を建てられるように思われる。

 

金剛屑は、葦名の中でも、

ひと際古い土地のみで採れる

 

先のとおり「ひと際古い土地」が源の宮のことだとするならば、

その住人は良質な金属素材の採掘を行っていたことがこのテキストから示される。

 

しかし源の宮は隔離された郷である。

採集した素材は流通先などなく、地産地消にしか用いようがない。

 

つまりかつての源の宮は金剛鉄の製錬場

即ち「たたら場」としての顔も持っていたはずではないだろうか。

(逆にそうでなければ金剛屑の採掘など不要で、存在は埋もれたままだった筈である)

 

 

現在「ぬしの寝床」と呼ばれる水中洞穴はかつては鉄鉱石採掘用の谷であり、

水中洞穴の廃墟の印象から、竜が来る以前の祭祀の場でもあったとするならば、

 

古い土や岩は、神を寄せるとも言われる

その恩寵か、金剛鉄は実にしなやかで強い

 

葦名のひと際古い土地に生える草木には、名も無き小さな神々が寄っていたという

 

ぬしとは、土地神

 

実は「ぬし」たる土地神たちにとって、現在の鯉(正確には鯉に棲む蟲)の姿となる前から

水没前の採掘谷は「神域=寝床」であった、という見方も可能なのかもしれない。

 

 

土、金気、そして草木の土地神たちに加え、

製鉄に不可欠である良質な火と水も存在していたとすれば、

 

一般に「五行」と呼ばれる木火土金水のバランスが絶妙に保たれた神々の住まう土地であり、

彼らに捧げる「たたら製鉄」が行われていた土地、

 

それがかつての源の宮の姿ではないだろうか。

 

 

しかし現在の源の宮は水と木の勢いが異常に強く、火と金気の気配などはどこにもない。

バランス崩壊の原因となった事象とは何か。

 

だが、神なる竜が根付いたのちは、そうした小さな神々は、姿を潜めてしまった

 

それは言うまでもなく、神なる竜の漂着であったと予想される。

桜と神鳴り、すなわち木気と水気が、金気と火気およびその派の人々を追い払ってしまったのではないだろうか。

 

靇(おかみ)とは本来、竜を指す言葉なのである。元は竜を信奉した側の一派を指す言葉だったのかもしれない。

 

 

 

神なる竜の定着

 

竜の来訪は、当時の宮を二分する争いを引き起こしたと予想される。

思想の問題だけではなく、物理的に水没した宮での製鉄は事実上不可能なのである。

 

状況を見る限り、宮を制したのは、五行のバランスを捨て竜の力を支持した者たちである。

彼らは竜に舞を捧げ、水量の増大した宮に新たな奉納用の高層建造物を作った。

 

すると不思議と力がみなぎったという

 

つまり奉納舞で力を増大したのは、竜の方であったのかもしれない。

 

そして旧オカミ門、かつての神の座は捨てられて荒廃し、

(おそらくは新たな「神域」との位置関係から)ただの「門」として再利用された

たたら場は失われ、土地の神々は姿を潜め、宮は現在の姿となったのである。

 

常しえに砕けることも、錆びることもない

神鳴る竜の恩寵を受けるが故だ

 

逆に読むと恩寵を受けなかった金属は、ことごとく宮の水気に錆びたのである。

だが錆びてなお、竜に抗う刃もあった。

 

その血筋に連なる者にも有効だろう

 

竜の血筋、変若の御子たちに特効を示す、錆び丸である。

そして錆び丸がある以上、竜を怨む金気と火気は、同様に葦名の地上に逃れたことが予想される。

 

いにしえの昔、葦名に攻め寄せた

人ならぬ一族に抗するため

葦名衆が鍛えたもの

 

宮もまた葦名であり、かつての宮の住人も葦名衆と呼ばれていたのなら、

これは実は宮に漂着した竜との対戦を指した一文なのかもしれない。

 

 

 

ここまでの内容、源の宮の環境観点での歴史予想を時系列にまとめる。

 

 

・古代、海上火山として誕生(最古の地となる)

・列島が構成され、火山は高山となる

・火山活動の停止(と小型火口湖の出現?)

・火口跡地を聖地として人々が住む

・金剛鉄の採掘と製鉄がはじまる

・「宮」(旧オカミ門)、および周辺施設の建造

・火口湖は「宮」の庭池となり鯉が持ち込まれる

 

・神なる竜の漂着。自然調和が損なわれる

・親竜派と反竜派の対立。反竜派の敗北と逃亡

・舞殿建造。舞の奉納で竜の力が強化

・「宮」は荒廃し「淤加美門」と改名される

・竜の力が火気を消し、金気は錆び朽ちる

・水と木気の異常繁栄、生物の異形化が進行

 

・竜が葦名下層に「あやかし」として移動、八尾比丘尼が回収に成功(いにしえの戦)

 

・竜の力「変若水」「変若の御子」および「竜胤」が葦名に影響を及ぼし始める

 

・一心の国取り、隻狼の不死断ち

 

 

 

青竜に追われた朱雀

 

錆び丸のほか、宮の流出技術である「火と鉄」は、隻狼の時代、葦名のどこに潜んでいるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

その観点で見直すと、瞬時に発火炎上する鉄という一見奇妙な物体は、

偶然とは思えないほどに隻狼界には多く存在する。

折れ角忍び斧など、炎上忍具に進化する素材自体が実は貴重な金属だったのであれば、

それらがなぜか祀られていた事実と繋がるのかもしれない。

 

また奇妙な鉄器という意味では厄が憑く鐘、七面武者が持つ祭器など

「炎形のような力」を備えたものもある。

ここまで来ると呪いや怨嗟、御霊といったものに片脚を突っ込んでいる風でさえある。

 

 

そして、宮に超自然的な製鉄術があったのならば、

やがて宮を占拠した竜・竜胤をも封殺し得る二振りを生み出すことに繋がったとも想像できる。

 

 

隻狼は知らず、竜の恩寵と宮の技術という相反する力の恩恵に強く与っていたのである。

 

 

朱雀の大路は、羅生の門へと延びる。

 

しかし怨嗟の火炎色を纏った忍び義手は、

やがて瑠璃色の竜の恩寵をもって、

鳳凰の紫紺色に浄化された。

 

 

忍び義手の進化は、実は他ならぬ源の宮の歴史の経緯と結末であったのかもしれない。

 

 

 


 

次回は、今回(あえて)触れなかった宮の異形と不死の習俗について考察します。

 

参考:

五行思想 - wkipedia

 

関連記事:

【隻狼】新隻狼考察⑩_長手の百足、川蝉と怨嗟

【隻狼】新隻狼考察⑪_源の宮(環境推移編)

【隻狼】新隻狼考察⑫_源の宮(神域の陰陽編)

 

 





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